※この記事はネタバレを含みます。ご覧になる際はご注意ください。
みなさまは『ハイキュー!!』というマンガをご存じでしょうか。
出典:ハイキュー!!
『ハイキュー!!』は古舘春一先生が週刊少年ジャンプで連載していた、スポーツマンガです。
スポーツには付きまとう才能の壁。時にはその壁にぶつかり、挫折することもあるかもしれません。
しかし、『ハイキュー!!』にはその壁に何度ぶつかっても立ち上がったアンチ天才がいます。
というわけで今回は及川徹を紹介します。
プロフィール
出典:ハイキュー!!
身長:184.3cm(高校)→185.5cm(プロ)
体重:72.2kg(高校)→82.4kg(プロ)
所属:青葉城西高校(宮城)→CA SanJuan(アルゼンチン)
ポジション:セッター
好物:牛乳パン
最近の悩み:烏野のマネちゃんに声かけたらガン無視された(高校)→未成年と間違えられる(プロ)
ステータス
高校
パワー | 5 | バネ | 3 | スタミナ | 4 |
頭脳 | 4 | テクニック | 5 | スピード | 3 |
プロ
サーブ | 10 | レセプション | 8 | ディグ | 7 |
セッティング | 10 | スパイク | 7 | ブロック | 8 |
CV:浪川大輔(代表作:『BLEACH』ウルキオラ・シファー、『ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン』ギルベルト・ブーゲンビリアなど)
対人関係
青葉城西高校
同じ三年の岩泉とは、小さな頃から一緒にバレーをしてきた幼馴染で、彼らの中学の後輩である烏野セッター・影山から「阿吽の呼吸」と称されるほどのチームワークを見せます。
しかし、普段はおちゃらけた及川に岩泉が強烈なツッコミ(暴力)を加えているため、はた目には仲が悪く見えがちです。
三年含め、他の青城バレー部からは彼自身のカリスマ性から絶対的な信頼を置かれており、試合前にたった一言「信じてるよ、お前ら」と声をかけるだけで空気が変わるほど。しかし、性格については三年はおろか、一年ですらも「仲良くなりたくない」と思っています。
一方で及川のチームの仲間には絶対的な信頼を置いており、そのチームワークから繰り出されるコンビネーションは圧巻の一言です。
他校バレー部
烏野セッター・影山は中学の後輩であり、彼のサーブとブロックの師匠でもあります。(及川が直接教えたわけではなく、影山が勝手に見て盗んだようです。)
セッターやプレーヤーとしては尊敬されていますが、先輩として尊敬されているわけではなく「性格がめちゃくちゃ悪い」と言われてしまっています。
一方、及川は後述する理由から「天才」である影山に大きなコンプレックスを抱いており、複雑な感情を抱いています。
白鳥沢主将・牛島とは中学から競い合ってきた仲ですが、及川は高校卒業まで一度もウシワカに勝てたことはなく、ウシワカは自他ともに認める天才であることからも彼を嫌っています。
また、ウシワカからは「うち(白鳥沢)に来るべきだった」「どこであろうとそのチームの最大値を引き出すセッター」と評されており、実力を認められています。
人物像
一言でいうと、「つかみどころのない性格」です。
上述したとおり、同級生どころか後輩である青城の一年ですら「性格が悪い」と思っており、影山に至っては作中屈指の毒舌キャラの「月島以上かも」とまで評すほどです。
普段はのらりくらりとしていて、笑顔で嫌味を言ったり、挑発して人やチームを引っ掻き回すのが得意であり、座右の銘を「叩くなら折れるまで」としていることからもお世辞にも「良い人」とは言えないことが分かります。
また、作中一イケメンであることが強調されているキャラであり、女子の集団に囲まれたり、女子の応援団が試合にやってきたりしているため、青城含めた他のプレーヤーからはよく思われてはいません。
しかし、試合になると一変し、普段の彼からは想像もできない真剣な顔をのぞかせ、その圧倒的カリスマ性からチームメンバーから大きな信頼を寄せられています。
後述するように影山やウシワカ、稲荷崎の宮侑といった天才たちに匹敵する高い能力をもった彼ですが、あくまでも「及川徹は天才ではない」のです。ゆえに、後述する能力は高いセンスと身体能力、そして血のにじむような努力の果てで手に入れたものであり、『ハイキュー!!』内でのアンチ天才の代表と言える人物です。
なので、かなりの努力家で、バレーには心から真剣に取り組んでおり、「見てるこっちがしんどいくらい」と評されるほどです。
このように、常に笑顔でちゃらちゃらしているのでそこまでバレーに必死になるタイプじゃないのかと思えば、実は超努力家、という二面性が及川の読者人気の理由と言えるでしょう。
過去
及川は影山やウシワカのような「天才」に対して大きなコンプレックスを抱いており、その原因は彼の中学時代にあります。
及川や岩泉がいた中学は県内屈指の強豪であり、全国出場も狙えるレベルのチームでした。しかし、彼らは一度も全国に出場したことはありません。
理由は、至極単純で、ウシワカ率いる白鳥沢学園中等部に負け続けたからです。
なんどやっても、どうやっても一セットすら取れず、中学時代の及川はかなり荒んでいました。
そんなとき、及川の後輩として影山が入部してきます。
彼もウシワカと同じくまごうことなき天才であり、彼の登場で及川がさらに荒んだのは言うまでもありません。その荒みっぷりは練習試合でありえない数のコンビミスを連発し、影山と交代させられるほど。
そして、挙句の果てにあろうことか影山に手を上げようと知ってしまい、岩泉が間一髪で止めます。
及川は「俺は勝ちたい」「俺は全国に行きたい」と岩泉に怒鳴りますが、岩泉は「俺が俺がってうるせー!!」と頭突きをくらわし、「六人で強い方が強い」と怒鳴り返します。
この言葉で及川は吹っ切れ、中学最後の大会でベストセッター賞を獲得することができました。
しかし、やはり白鳥沢には勝てず、高校でリベンジすることを誓い、岩泉と共に青城に進学するのです。
能力
特筆すべきはやはり、卓越したセットアップ技術です。
「トス回しでは影山に敵わない」と認めているものの、それ以外のすべてで彼を大きく上回っており、特に仲間の能力を100%引き出すことについては作中に登場するセッターの中でも群を抜いています。
例を挙げると、青城の一年ミドルブロッカーの金田一が、及川のセットを打ちにくいと感じましたが、あえて及川はそのままにすることで金田一の潜在能力を引き出すことに成功したのです。
また、チームに馴染めていない二年ウイングスパイカーの京谷をリーサルウェポンとして機能させたり、見ず知らずの大学チームに一人で入って生き生きとスパイクを打たせることができることなどから、あのウシワカですらも「うち(白鳥沢)に来るべきだった」と彼を高く評価しています。
もう一つ特筆すべきはサーブです。
彼のサーブは作中屈指の威力とコントロールを誇り、作中トップレベルのリベロである烏野リベロの西谷からサービスエースを取ったり、威力重視のサーブにした際には烏野主将の大地さんからは「ほぼスパイクじゃねーか」と驚愕されるほどです。
そんな威力に加えて、コントロールも抜群に優れており、ミスが多くなるジャンプサーブにもかかわらず、ミスはほとんどありません。(サーブミスがあったときは会場がざわめくほどです。)
中学から強烈だった彼のサーブは影山がお手本にするほどでしたが、西谷曰く、「中学の頃はあんな威力もコントロールもなかった」とのことで、血のにじむような努力からこのサーブが生まれたことが分かります。
また、セッターであるにもかかわらずスパイクも強力で、ファーストタッチを自分が行った際には積極的にスパイクを打ちに行ったり、影山が手本にするほどのブロックと、オールラウンドな活躍ができる選手でもあります。
他にも、チームの司令塔として非常に優秀で、青城の柔軟な対応力は彼の作戦指揮能力の高さから来ていると言っても過言ではありません。
実際、インターハイ予選での烏野戦では、日向・影山の変人速攻と普通の速攻との使い分けを1セット目中盤で見抜くことで影山を追い詰めたり、まだサーブの弱い選手には人が交錯する場所を狙わせてレシーブしにくくさせる、といった策で青城を勝利に導いています。
活躍
初登場は青城VS烏野の練習試合です。
このとき、及川は足をねんざしており、試合終盤からピンチサーバーとして参戦。強烈なサーブを披露しますが、日向・影山の変人速攻に敗北を喫してしまいます。
続いては、インターハイ宮城県予選三回戦、烏野高校との一戦です。
試合終盤から入った前回とは違い、最初からセッターとして出場した及川は最初から強打でツーアタックを決めたり、サービスエースを決めたりと大活躍。
しかし、二セット目から烏野が対及川用のレシーブフォーメーションにしたことで、サーブの決定率が下がり、影山に自分のトスを読まれたことでセットを落としてしまいます。
そして迎えたファイナルセット。実力の拮抗する両者はデュースが続き30点台に突入しますが、今度は及川が影山のトスを読み切り、日向の変人速攻を止めて見せたことで、ゲームセット。青城が白星を掴むのでした。
(ちなみに青城は決勝戦で白鳥沢に敗北。県二位止まりとなってしまいます。)
次は夏休み。
日向が「(変人速攻で)目えつむんの、やめる」と言い出したことでどうすればいいのかわからなくなった影山が偶然チラシを見つけた「ちびっこバレー教室」にやってきた際、甥っ子の付き添いできていた及川と遭遇。
未熟な日向が自分で戦いと言い出したことに不安を抱える影山に対し、「ちびちゃん(=日向)の欲しいトスに応えているか」「答える努力をしたのか」と問い詰め、「独裁の王様に逆戻りだね」と毒を吐くのでした。
続いては、春高予選準決勝、烏野戦。
及川はインターハイのときよりも強化したサーブやリーサルウェポンの京谷を軸としたコンビネーションで烏野を翻弄します。
特に、及川の代名詞と言えるサーブはレシーブ巧者の大地さんと西谷ですら「二人では無理だ」と判断するほどであり、及川の血のにじむような努力がうかがえます。
しかし、そんなサーブやチームワークもってしても烏野の猛攻には一歩及ばず、フルセットの激戦の末、準決勝敗退となってしまいました。
こうして全国に通用するレベルの技術を持つ彼ですら、「地元で有名だった無名選手」として高校バレーの幕を下ろすのでした。
試合終了後、ウシワカは及川に「取るに足らないプライドのために道を間違った」と苦言を呈されますが、及川は彼を睨みつけて「取るに足らないこのプライド、絶対に覚えておけよ」と言い返します。
そして、「烏は群れで大きな白鷲をも殺すかもね」と言い残し、その場を去るのでした。
(ちなみに、翌日の決勝戦、烏野VS白鳥沢の試合を「どっちが勝ってもどっちかの負け顔を拝めるから」という理由で見に来ており、同席した岩泉に「う〇こ野郎」と呼ばれています。)
次の見せ場は高校卒業後。
卒業後、彼は自分がセッターになった理由であるホセ・ブランコ監督に師事するため単身アルゼンチンへ渡っており、そのままアルゼンチンのリーグでプレーしていました。そして合宿でブラジルを訪れていた際、ビーチバレー修行にブラジルに来ていた日向と遭遇。
ブラジルを離れるまでの数日間、練習終わりに彼とビーチバレーをしていました。
普段の、室内で行うバレーとは似て非なるビーチバレーを体験したことで、初心を思い出した及川は、再会を約束してアルゼンチンへ帰国するのでした。
最後は最終話。
なんと及川はアルゼンチンに行ったまま、帰化しており、アルゼンチン代表のセッターとして東京オリンピックに出場。
日向や影山、ウシワカといった日本代表の前に立ちふさがり、物語は幕を下ろすのでした。
単行本17巻に書かれたその後
ハイキュー!!17巻には烏野戦の後、及川や岩泉、花巻といった青城三年生たち、金田一や京谷、矢巾といった次世代の青城を担う選手たちがどのように過ごしたのかが描かれた番外編「戦いは終わらない」が掲載されています。
ここではそこでの及川の活躍を紹介したいと思います。
烏野戦終了後、みんなでラーメンを食べた後、三年生たちは(帰るつもりが)青城の体育館に来ていました。
ひとしきり汗を流し、見回りが来る時間になったのでお開きになることに。
そんなとき、及川がみんなを呼び止め、「3年間ありがとう!!!」と涙ながらに感謝を伝えます。
それを聞いた三年生たちはみんなして悔し涙を流すのでした。
片付けを終え、帰路に着いた及川、岩泉。
岩泉は唐突に及川を「めんどくさい奴」と称しますが、「おまえはおれの自慢の相棒で超すげえセッターだ」と付け加えます。
そして、二人は拳を付き合わせるのでした。
名言
1:それじゃあ今日もーー信じてるよ お前ら
出典:ハイキュー!!
及川がいつも試合前にチームメイトにかける台詞。
普段はへらへらとした及川ですが、この一言でチームの雰囲気をびしっと引き締め、かつチームメイトに程よいプレッシャーを与えることで、全員をいきいきとプレーさせることができます。
青城というチームにとって、及川がどれだけ大きな存在かが伝わる言葉です。
(春高予選での烏野戦では、レギュラーの三年生が逆に「信じてるぞ」と声をかけており、バレーに対してはお互いに信頼しきっていることが分かります。)
2:安心して飛べ
出典:ハイキュー!!
インターハイ予選烏野戦にて、一年ミドルブロッカーの金田一に対して言った一言。
得点直後からサーブまでの短い時間で言った何気ない一言ですが、彼の「セッターはスパイカーを活かすもの」というセッターとしての心構えがよくわかる一言です。
あと、地味に相手が天才・影山なのに委縮せずに堂々と言えるのがすごいです。
3:才能は開花させるもの センスは磨くもの!!!
出典:ハイキュー!!
春高予選準決勝、烏野戦での台詞。
才能は生まれ持ったものであるため「開花」させ、センスは後天的に身に着けるのものであるため「磨く」もの。
同列に扱われることの多いこの二つの言葉ですが、こう捉えればわかりやすいのではないでしょうか。
そして、天才ではない僕たちも(途方もない努力が必要ですが)センスを磨けば天才に追いつけることを端的にあらわした言葉です。
4:取るに足らないこのプライド 絶対に覚えておけよ
出典:ハイキュー!!
春高予選、烏野戦後、ウシワカとの会話で出た言葉。
ウシワカは及川の「プライドを守るための判断」が間違っている、と言いますが、及川は当然、そうは思っていませんでした。
そんな彼がウシワカに対して放ったのがこの言葉で、「絶対にリベンジしてやる」という硬い意志を感じる言葉です。
(実際、彼らはオリンピックという世界一大きな場面で再戦を果たしており、及川の意思の硬さがうかがえます。)
5:さあさあ世界一ゼイタクな内輪もめですよ
出典:ハイキュー!!
東京オリンピックにて、アルゼンチン代表として日本戦に挑む直前の一言。
及川は影山やウシワカ、岩泉といったライバルたちを「全員倒す」ためにアルゼンチンに帰化しています。
その夢がかなう場面であり、しかもそれがオリンピックという世界一のスポーツの祭典でできる、というワクワク感が伝わる一言です。
(日向や影山、ウシワカといった及川を知る日本代表の選手も笑みを浮かべていたため、彼らも楽しみにしていたようです。)
さいごに
以上、いかがでしたでしょうか!?
今回は及川徹を紹介しました!!
自身は決して天才ではないながら、天才と引けを取らないほどの実力を持つ及川。そんな彼の生き様に憧れる人も多いのではないでしょうか?
及川のようにひた向きに努力をし続けるのは並大抵のことではありませんが、それができる人こそが「本当に強い人」ではないのかと僕は思います。
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